メールマガジン第51号

全国盲ろう者団体連絡協議会メールマガジン第51号

2021年8月15日発行

全国盲ろう者団体連絡協議会(以下、「連絡協議会」という)

1.会長からのメッセージ

会長 大杉 勝則(おおすぎ かつのり)

猛暑の中、お見舞い申し上げます。

みなさん、コロナワクチン接種は、どんな状況ですか?

64歳以下にも接種が広がり、障害者や支援者を優先接種とする地域も増えていま
す。

1日も早く、みなさんが当たり前に生活を送ることができる社会が戻るのを願ってい
ます。

ところで、東京2020オリンピックが開会され、あちこちで熱戦が盛り上がりまし
たね。

全国の9名の盲ろう者の手を経た聖火が、最終ランナーの大阪なおみさんにつなが
り、無事に聖火台に着火されたことは、とても感激しました。

この聖火の炎のように、世界中に、われわれ盲ろう者のがんばりや笑顔を届けていき
たいと思います。

オリンピック聖火リレーに続き、パラリンピック聖火リレーにも、数名の盲ろうラン
ナーが参加されますので、引き続き応援しましょう。

2.東京2020オリンピック聖火リレーの報告

「聖火リレーでの試み」

東京都 當山 良一(とうやま りょういち)

弱視難聴

 去る7月12日、東京の立川市にある特設会場で、聖火リレーの点火セレモニーに参
加してきました。その舞台では、トーチキス(聖火のリレー)と、ポーズをとっての
記念撮影が行われました。

 そこで、私が考えたポーズは、まず左右の手で双眼鏡を覗くように丸を作り、次に
両方の人差し指を立て、その両手を手首のあたりで交差させると、「db」のような手
の形になります。それはデフブラインドのdとbであり、私なりの「盲ろう」を表現し
てみました。前と次のランナーに相談したところ、快諾してくださり、トーチを持っ
ていない方の手で協力してそのポーズを作り、無事に記念撮影をすることができまし
た。お二人には、感謝の気持ちでいっぱいです。

 そして、会場が屋内で客席側が暗くなっていたこともあり、まだわずかに視力が残
る私の目でもブルーとオレンジの綺麗な聖火を見ることができ、とても感動しまし
た!

3.東京2020パラリンピック聖火リレーランナーの紹介

東京2020オリンピック聖火リレーにつづき、8月からの東京2020パラリン
ピック聖火リレーにも4名の盲ろうランナーが参加されます。

引き続き、応援をお願いします。

1 桜井 洋子(さくらい ようこ)

埼玉・全盲難聴・盲導犬ユーザー

8月19日(木)・埼玉県内

2 川崎 美知夫(かわさき みちお)

東京・全盲ろう

8月20日(金)・東京都内

3 小林 祐子(こばやし ゆうこ)

東京・全盲ろう

8月21日(土)・東京都内

4 高橋 和代(たかはし かずよ)

神奈川・全盲ろう

8月23日(月)・東京都内

4.『パラリンピック出場の米国の盲ろうの選手に合理的配慮を』

 東京盲ろう者友の会・藤鹿 一之(ふじしか かずゆき)

 この原稿を執筆した7月31日現在。

東京では、東京2020オリンピックが開催されています。

日本のアスリートたちは大活躍されていて、すでに金メダルを17個獲得していま
す。

しかし、その陰で悲しい出来事が起きています。

 8月24日から、東京2020パラリンピックが開催されます。

この大会に米国の盲ろうの女性、ベッカ・マイヤーズさんが競泳の選手として出場す
ることになっていました。

しかし、新型コロナウィルスの感染防止の観点から同行する介助者を最小限に抑える
ことになったようで、マイヤーズさんの介助者は同行できなくなりました。

マイヤーズさんは介助者なしではパラリンピックに出場できないため、出場を断念せ
ざるを得なくなりました。

合理的配慮がなされておらず、非常に問題です。

そこで、開催地の当事者団体として、合理的配慮を求める声明文を出すこととなりま
した。

 国際パラリンピック委員会(IPC)は、パラリンピアンたちに秘められた力こそ
が、パラリンピックの象徴であるとし、「勇気」、「強い意志」、「インスピレー
ション」、「公平」の4つの価値を重視しています。

 介助者の同行を認めないということは、4つの価値のうちのひとつ「公平」に反し
ていると言わざるを得ません。

 関係諸機関には、改めて検討していただき、メイヤーズさんが、他のアスリートと
同じように、2020パラリンピックのスタートラインに立てることを願っています。

声明文の全文は以下のサイトで掲載されています。

介助者の同行不許可による盲ろう選手のパラリンピック出場断念についての声明『盲ろうのパラリンピアンに合理的配慮を』

5.友の会紹介コーナー

「盲ろう者向け高齢者住宅について」

NPO法人和歌山盲ろう者友の会

理事長 小杉 純弘(こすぎ よしひろ)

弱視難聴

 私たち和歌山盲ろう者友の会では、会員の高齢化に伴い高齢者住宅の設置が急がれ
ています。盲ろう者は若いうちは親や兄弟がありいろいろな支援が受けられますが、
高齢化してくると親や兄弟が少なくなってきます。そうなると盲ろう者は自らの力で
生活できなくなります。つまり日常生活や社会から完全に孤立することになります。

 こうした盲ろう者は自立するために高齢者住宅が必要になってきます。盲ろう者は
同じ障害を持つ仲間とコミュニケーションを取り、様々な情報を得ることにより自ら
の知識を高めることができるようになります。

 しかしこのような高齢者施設を建てるには、多くの資金と場所が必要になります。
銀行などに融資をお願いするのですが、なかなか貸し付けをしてもらえません。昨年
までに殆どの金融機関から断られました。そのため、未だ実現できていないのが実情
です。

 今後も、私たちの友の会では、盲ろう者の夢の実現に向けて前進していきたいと思
います。

6.みんなの広場(リレートーク)

 「最近、ホッとするお話」

北海道・札幌 沖村 圭子(おきむら けいこ)

弱視難聴

 村岡さんからバトンを受けました。

私は事務所のある情報センターまでは、一人でバスや地下鉄を乗り継いで行きます。

 地下鉄コンコースの壁側にある「セブンイレブン」のお店をよく利用します。初め
の頃は、自分で迷いながら覚えた場所から品物を取り出していましたが、品物の場所
は時々変わります。そうなるとお手上げです。ある時から、レジの少し横に立ってお
店の人の手が空くのを待つようにしました。

それが馴染みになってしまったのか、白杖を持つ私が来るとすぐにそばに来てくれ、
手引きをしたり、品物を取り出してくれるようになりました。聞かなくても賞味期限
まで教えてくれます。会計の時には、お金を分かりやすいようにお札は5千円、千円
が何枚とか、小銭を手のひらに分けて置いてくれる人もいます。お店の指導がしっか
りしているのか、忙しい時でも、どの人も優しく対応してくれます。

気持ちが和みます。こういうお店がもっと増えると良いですね。

7.会計からのご案内

会計担当 石川 隆(いしかわ たかし)

 2021年度の会費納入のご案内を申し上げます。

下記の通り、会費の納入をお願いいたします。

・会費 1万円

・金融機関 ゆうちょ銀行

・口座番号 12170-85824061

・口座名義 全国盲ろう者団体連絡協議会

・納入期限  2021年10月29日(金)

ご注意

・手数料はご負担ください。

・個人名でなく団体名義で振り込んでください。

・特定非営利活動法人やNPOは省いてください。

・振リ込み済み通知書を領収証とします。大切に保管してください。

・期限内納入のご協力をお願いいたします。

8.編集後記

猛暑日が続いていますが、読者の皆さんいかがお過ごしでしょうか。

盲ろう者の聖火ランナーのみなさんがつないだ聖火が開会式において聖火皿に点火さ
れ、東京2020オリンピックが無事に開催されました。無観客の中、オリンピック
が盛り上がり日本メダルラッシュでしたね。そんな中、藤鹿さんのメッセージにもあ
るように、盲ろう女性の米国水泳メダリストが介助員同行を認められずパラリンピッ
ク出場を断念したという悲しいニュースがありました。私たち盲ろう者にとっても衝
撃的な出来事であり他人事ではありません。私もこの前、小さなことですが似たよう
なことを経験をしました。どうすればいいかといろいろ探っているところです。

ところで梅干しは夏の疲れをとってくれると言われています。毎日食べて厳しい夏を
乗り切りましょう。

次号は12月15日発行予定です。乞うご期待!

編集担当 今本 由紀(いまもと ゆき)